サウナのマナーとして紹介されているものを読むと、だいたい次の言葉が並びます。黙浴、かけ湯、汗を流してから水風呂、席を詰める、タオルを敷く、長居しない。
このほとんどは「他人が同じ空間にいること」から生まれた決まりです。 だから個室サウナに入ると、その大半が意味を失います。誰の隣にも座らないし、誰の視線もないからです。
ただし全部が消えるわけではありません。 個室では逆に、共用サウナより厳しく見られるものが3つ残ります。しかもその3つは、共用サウナのマナー記事にはほとんど書かれていません。前提が違うからです。
この記事では、共用サウナのマナーのうち個室で消えるものと残るものを分けたうえで、個室で本当に守るべき3つを整理します。最後に、いずれ共用サウナに行くときのために、消えたほうの作法もまとめて置いておきます。
共用サウナのマナーは、個室でどうなるか
| 共用サウナで言われること | 個室では | 理由 |
|---|---|---|
| 黙浴(サウナ室で話さない) | 要らない | 同席者は連れだけ。会話が前提の使い方をする人も多い |
| 席を詰める・場所取りをしない | 要らない | 座る場所を争う相手がいない |
| タオルを敷いて座る | 形を変えて残る | 他人のためではなく、次に使う人と設備のため |
| かけ湯をしてから入る | 形を変えて残る | 衛生というより、汗と水を室外へ持ち出さないため |
| 汗を流してから水風呂へ | 多くは要らない | 水風呂が個室内にある場合。共用の水風呂を使う施設なら必要 |
| 長居しない・回転を意識する | いちばん強く残る | 時間貸しなので、遅れがそのまま次の人にぶつかる |
| ととのい椅子を占有しない | 要らない | 占有しても誰も困らない |
要らなくなったものは、気を抜いていい部分ではなく「気にしなくていい部分」です。 個室サウナを選ぶ人の多くが求めているのは、まさにこの部分の解放だと思います。声を出しても、寝転んでも、汗をかいたまま座っていても構いません。
そのうえで、次の3つだけは共用より厳しくなります。
個室で残る3つ
① 時間——ここだけは共用より厳しい
共用サウナで「長居しない」と言われるのは、混雑時の配慮です。個室サウナでは配慮ではなく契約です。 60分なり90分なりの枠を買っていて、次の枠を買った人が扉の外で待っています。
枠の中に、着替えとシャワーと片付けの時間が含まれます。 ここを読み違えると、退室が数分遅れます。個室サウナで施設がいちばん困るのがこれです。清掃時間が削られ、次の人の開始が遅れ、その遅れが一日じゅう後ろへ積み上がっていきます。
具体的な時間の割り方は、個室サウナは何分で予約する?(60分・90分・120分の使い分け)にまとめています。先に「退室の時刻」を決めてから、そこから逆算して入るのが唯一のコツです。
② ストーブとサウナストーン——壊れるものがある
個室サウナはセルフロウリュができる施設が多く、水をかけるのは自由です。ただしかけ方の自由と、量の自由は別です。
- 一度に大量の水をかけない。 ストーンが割れ、ヒーターが傷みます
- ストーンの上以外に水をかけない。 ヒーターの金属部・電装部にかかると故障の原因になります
- アロマ水は施設が用意したものだけを使う。 持ち込みの原液をかけると、匂いが室内に残り、次の利用者の枠に持ち越されます
- 温度設定を勝手に上限へ振り切らない。 設定範囲が決まっている施設があります
セルフロウリュの可否も水の量も施設ごとに違います。扉の内側か、卓上の案内に必ず書いてあります。 書いていなければ、受付で聞くのがいちばん早いです。
③ 退室時の状態——「原状」ではなく「見えるところ」
清掃は施設がします。利用者が完璧に戻す必要はありません。求められているのは、清掃の人が短時間で回せる状態にしておくことです。
- 使ったタオルは、決められた回収先へまとめる(かごか、床の一か所か)
- 飲み物の容器・持ち込んだものは持ち帰る
- 濡らしてはいけない場所(脱衣スペース・スピーカー・照明まわり)を濡らしたら、備え付けのタオルで拭く
- 髪の毛は、排水口の見えるぶんだけ取る
この4つだけで十分です。 逆に、これが積み重なると清掃時間が延び、時間の遅れとして次の人に回ります。①と③はつながっています。
初めての人がやりがちな4つ
1. サウナ室に入る前にシャワーを浴びない 共用の「かけ湯」ほど厳格ではありませんが、汗と皮脂を落としてから入ったほうが、室内が持ちます。 ととのい方も安定します。
2. 水分を持ち込まずに始める 個室は自分のペースで入れるぶん、共用より長く入りがちです。 飲み物は入室前に用意してください。持ち物は個室サウナの持ち物に整理しています。
3. 熱源のそばに物を置く タオル・衣類・スマートフォンをストーブの近くに置くと危険です。個室は自分しか見ていないぶん、注意する人もいません。
4. 終わりの時間を決めずに入る ①のとおり、これが遅刻の唯一の原因です。
共用サウナに戻ったときのために
個室に慣れると、共用サウナの作法を忘れます。次に大浴場つきの施設へ行くときのために、消えていたほうを置いておきます。
- 入る前に体を洗い、かけ湯をする
- サウナ室では会話を控える(黙浴を掲示している施設が増えています)
- タオルを敷いて座る
- 水風呂に入る前に汗を流す
- ととのい椅子を長く占有しない
- 写真・動画を撮らない(裸のいる空間では原則禁止です)
個室と共用の違いそのものは、個室サウナと貸切サウナ、どう違う?と個室サウナと一般のサウナはどこが違うのかで扱っています。
よくある質問
Q. 個室サウナでは本当に話していいのですか。 A. 同席者との会話は問題ありません。 個室を選ぶ理由の一つがこれです。ただし壁の薄い施設もあるので、深夜帯は声量だけ気をつけてください。
Q. 水着やタオルは着けたまま入るべきですか。 A. 施設によって決まりが違います。 男女で利用できる施設では水着着用が条件になっていることがあります。予約前に公式ページで確認してください。
Q. ロウリュはどれくらいの間隔でかけていいですか。 A. 回数の決まりは基本的にありません。 一度にかける量のほうが問題になります。ひしゃく1杯を目安に、様子を見ながら足すのが安全です。
Q. 途中で気分が悪くなったらどうすればいいですか。 A. すぐに室を出て、涼しい場所で座ってください。 個室は誰も気づいてくれません。無理をしない前提で時間を組んでください。
Q. 施設の清掃状態が気になります。 A. 個室サウナは前の利用者との入れ替えが短いため、気になる点は事前に確認しておくと安心です。見るべき箇所は個室サウナの衛生面で確認しておくことにまとめています。
まとめ
- 共用サウナのマナーの大半は「他人がいること」から来ているので、個室では要らない
- 個室で残るのは①時間 ②ストーブとサウナストーン ③退室時の状態の3つだけ
- いちばん重いのは時間。 枠には着替えとシャワーが含まれる。退室時刻から逆算して組む
- ロウリュはかけ方の自由と量の自由が別。ストーン以外に水をかけない
- 退室時はタオル・ゴミ・濡らした場所・髪の毛の4点だけでよい
- 共用サウナに行くときは、消えていた作法が全部戻ってくる
施設ごとにセルフロウリュの可否・水着の要否・入替時間の決まりは違います。予約前に各施設の公式ページで確認してください。