まず目安——何度に設定すればいいのか
結論から言うと、「何度がいいか」に唯一の正解はありません。ただし、目的別のおおまかな傾向はあります。
| 設定の傾向 | 向いている使い方 | 1セットの長さの感覚 |
|---|---|---|
| 低め(70℃台) | 長く入って汗をかきたい/会話しながら/サウナが久しぶり | 長めになりやすい |
| 中くらい(80℃台) | いちばん扱いやすい帯。迷ったらここから | 標準的 |
| 高め(90℃以上) | 短時間で切り上げたい/強い刺激がほしい | 短くなりやすい |
そのうえで、最初に覚えておくと役に立つのは次の一点です。
- 体感を決めているのは、温度だけではない。湿度・座る高さ・予熱の3つが同じくらい効いている
- 「ぬるい」は、温度を上げても解決しないことが多い。先に見るべき場所が別にある
- 「熱すぎる」ときは、温度を下げるより先に、姿勢と時間を変えるほうが早い
同じ80℃でも体感が違う、4つの理由
① 湿度——いちばん効くのがこれ
乾いた80℃と、水蒸気を含んだ80℃は、別物と言っていいほど体感が違います。湿度が高いほど汗が蒸発しにくく、体の熱が逃げにくくなるため、同じ温度でも強く熱を感じます。逆に、からっと乾いた部屋は、温度計の数字のわりに「まだいける」と感じます。
個室サウナでロウリュ(サウナストーンに水をかけて蒸気を出すこと)ができる場合、温度を1℃も上げずに体感だけを大きく変えられます。設備の有無と正しいやり方はセルフロウリュとオートロウリュの違いにまとめています。
② 座る高さ——上と下で、体感は大きく変わる
暖かい空気は上に溜まります。したがって同じ部屋のなかでも、頭の高さと足元では温度が違います。ベンチが2段ある個室なら、上段と下段を移動するだけで、設定を触らずに強さを変えられます。
③ 予熱——入った瞬間が本番ではない
設定温度に到達していても、壁・ベンチ・ストーンといった「部屋そのもの」が温まりきっているとは限りません。空気だけが先に温まっている状態では、体感は数字より弱くなります。前の利用者との間隔が空いた枠や、その日の1組目は、この状態になりやすいところです。
- 温度計は高いのに、ベンチが冷たい/木の香りが立っていない
- 入って5分ほどで、じわじわ体感が上がってくる(=まだ温まっている途中)
- ロウリュの蒸気が、すぐ立ち消える
予約時間の使い方そのものを設計すると、この待ち時間の扱いが変わります。60分・90分・120分の使い分けもあわせてご覧ください。
④ 体の表面が濡れているか
体をよく拭かずに入ると、表面の水分が蒸発するときに熱を奪うため、最初は熱さを感じにくくなります。その状態で「ぬるい」と判断して温度を上げると、水分が飛びきった後に一気に強くなります。入る前に体を拭くのは、衛生のためだけでなく、体感を安定させるためでもあります。
「ぬるい」と感じたときに見る4か所
温度設定のつまみを上げるのは、いちばん最後で構いません。上げても部屋が追いつくまでに時間がかかり、その間に予約枠が減っていくためです。順番に見ていきます。
- 1.座る位置を上げる/背筋を伸ばす——数秒で効きます。いちばん即効性がある
- 2.体の水分を拭く——タオルで一度しっかり拭う。前段の④の状態を解消します
- 3.湿度を上げる——ロウリュができる設備なら、少量ずつ。一度に大量にかけない
- 4.換気・ドアの状態を見る——わずかに開いていないか。給気口の位置に座っていないか
4つを試してまだ物足りない場合に、はじめて設定温度を上げます。その際は一度に大きく上げず、5℃刻み程度で様子を見てください。部屋が追いついてから効いてくるため、上げすぎに気づくのが遅れます。
「熱すぎる」ときに触る3か所
逆のパターンです。ここで多い失敗は、設定温度を下げて我慢し続けることです。部屋が冷えるには時間がかかるため、その間ずっと無理をすることになります。
- 姿勢を低くする/下段へ移る。これで数℃分の体感差が出ます
- 1セットを短く切る。「決めた時間まで頑張る」をやめる。つらいと感じた時点が終了のタイミングです
- 外気浴・休憩の時間を長めに取る。次のセットが楽になります
セットの組み立て方そのものはサウナでととのう仕組みと正しい入り方で扱っています。高温にすればよく整う、という関係にはありません。むしろ、熱さに耐えることに意識が向いている間は、休まるはずの時間が緊張の時間に変わります。
水風呂の温度との関係
サウナ室の温度だけを見ても、体験全体は決まりません。そのあとに何で冷やすかで、必要な熱さが変わるためです。冷たい水風呂があるなら、サウナ室を極端に高くしなくても差は十分につきます。逆に水風呂がない施設では、シャワーや外気浴でどこまで冷やせるかによって、ちょうどよい設定が変わります。
冷やす側の考え方は温冷交代浴の注意点と安全な入り方、水風呂がない施設の選び方は水風呂がない個室サウナでも整う?にまとめています。
予約前に確認しておくと外さない4項目
- 温度は自分で変えられるか(固定運用の施設もあります)
- 設定できる上限・下限はどこまでか要確認
- 入室時点で予熱済みか(「入室後に温め始める」方式だと、実質の使用時間が短くなります)
- ロウリュができるか(=湿度を自分で動かせるか)
とくに3つ目は、90分の枠を予約したつもりが実質60分になることがある項目です。持ち物や当日の流れとあわせて、個室サウナの持ち物リストも確認しておくと、当日の段取りが楽になります。
温度を上げる前に、知っておいてほしいこと
- 飲酒後——入らないでください
- 体調がすぐれない日・睡眠不足の日——設定を下げるか、日を改める
- 持病がある方、妊娠中の方、薬を服用中の方——利用の可否や入り方について、かかりつけの医師にご相談ください。本記事では個別の判断はできません
- 一人で利用する個室であることを踏まえ、異変を感じたら早めに退室する。「もう少し」と粘らない
水分は、入る前・セットの合間・出た後にこまめに取ってください。
よくある質問
温度計の数字は信用していいですか?
目安としては使えますが、設置場所によって表示は変わります。ストーブの近くや高い位置にあれば高めに出ますし、ドア付近なら低めに出ます。数字は「前回と比べてどうか」を見る基準として使い、実際の判断は体感で行ってください。
ぬるいので設定を最大にしました。何分くらいで上がりますか?
部屋の広さ、ストーブの出力、断熱の仕様によって変わるため、一律には言えません。数分では変わらないと考えておくのが安全です。だからこそ、この記事では座る位置・湿度・体の水分を先に触ることをおすすめしています。設定変更は効くまでに時間がかかる操作です。
低い温度だと、汗をかかないので意味がないのでは?
汗の量は目的そのものではありません。低めの温度で長く入るほうが体に負担が少なく、休憩後の感覚がよいという人もいます。「高温・短時間」と「中温・長め」は、どちらが正しいというものではなく、その日の体調と目的で選ぶものです。まずは80℃台から始めて、次回に上下どちらへ動かすかを決めるやり方が失敗しにくいです。
2人で入るとき、ちょうどいい温度が違います。
個室サウナでよくある状況です。設定は低いほうの人に合わせ、熱いほうの人が上段に座る——これがいちばん角が立ちません。逆に高いほうへ合わせると、片方が耐える時間になります。2人利用時の確認点は個室サウナは男女2人で入れる?もあわせてご覧ください。
設定温度が表示より上がりません。故障ですか?
故障とは限りません。そもそもの上限に達している、予熱が済んでいない、換気が強く効いているなど、いくつか理由が考えられます。到達しない状態が続く場合は、我慢せずスタッフに伝えてください。無人運営の施設なら、連絡先が案内されているはずです。